2025/08/07 19:11

【異常気象による苦労と、11年越しの悩み】
もちろん、異常気象や地球温暖化が良いことなわけはありません。
北極・南極の氷が溶け、海面が上昇したり、自然災害が増えたり、生態系にも深刻な影響が出たり…。
地球レベルで見れば、マイナスのほうが圧倒的に大きいです。
でも、それを理由にして「温暖化のせいで…」と農業の失敗や経営の言い訳にしてしまうのは、ちょっと違うかなと思っています。
だからこそ「この異常な気候でも、活かせる部分はないか?」と考えることも大事だなと思いました。
寺本果樹園では、シャインマスカットを作り始めて今年で11年目になります。
実はこの11年間ずっと、「糖度がなかなか上がらない…」という課題を抱えていました。
当園では、出荷基準として糖度18度以上というルールを厳守しています。
でもこの「18度」を達成するのが、本当に難しい。
去年の例で言えば、梅雨が普通にあって、天気も不安定でした。
その影響もあって、8月頭の時点で糖度は12度。
糖度は、晴れが続けば1週間で1度上がると言われています。
つまりあと6週間かけて、やっと18度に届く、という計算になります。
それでも、そこまで待つ間に『晩腐病』が出てしまったりするので、タイミングの見極めが本当に難しいのです。
【今年の猛暑が味方になった】
それに対して、今年は…
7月末の時点で糖度がすでに16度ありました!
このまま行けば、あと2週間後、つまりお盆前後には収穫可能なレベルに達する予定です。
(実際には収穫しません!糖度はクリアしても、酸味やエグ味が残っており、なんとなく若い味がするから!)
これは明らかに、今年の異常な暑さと晴天続きによって、光合成がしっかり進んだ結果だと思います。
雨が全然降らなかったことが、シャインマスカットにとっては糖度の上がりやすい環境を生んでくれたんですね。
もちろん、異常な暑さにはデメリットもたくさんあります。
でも一方で、【糖度の高い、よりおいしいマスカットが作れる】というメリットもあるのだと、今年は実感しました。
暑さで日焼けなどのリスクも増えますが、【シャインマスカットにとって一番大事な価値=“甘くておいしい】というポイントに関しては、今年の気候は強力な味方になってくれた気がしています。
というわけで、「異常気象から見えるメリット」というお話でした。
ありがとうございました!